「資格を取りたいけど、いったい何から手をつければいいんだろう」。そう思って、参考書を開いては閉じ、また開いては閉じ……を繰り返していませんか。
正直に言うと、私も昔はまったく同じでした。やる気だけは人一倍あるのに、勉強の「進め方」が分からない。手当たり次第に参考書を読んでは、なんとなく分かった気になって、本番の試験でボロボロ。出だしの進め方を間違えたせいで、1ヶ月、2ヶ月ぶんの学習時間をまるごとロスして、結局その年は落ちてしまう。そんな苦い経験を、私は何度もしてきました。最初の1週間どころの話ではありません。進め方を外すと、数ヶ月という貴重なリソースが、まるごと溶けてしまうんです。
でも、いくつもの資格に挑戦するうちに、あることに気づきました。合格までの手順は、資格が違ってもほとんど同じだということです。私はこれまで、電験一種(第一種電気主任技術者)や中小企業診断士、簿記2級など、分野の違う資格をいくつも取ってきました。電気の難関資格もあれば、経営やお金まわりの資格もある。ジャンルはバラバラなのに、私が合格までにやってきたことの「型」は、驚くほど共通していたんです。
そして、これだけは最初にお伝えさせてください。「自分には向いていないから」「どうせ受からないから」という思い込みで資格を諦めてしまうのは、本当にもったいないということです。資格は、生まれ持ったセンスや地頭の良し悪しで決まるものではありません。決まったことを、決まったとおりに、淡々と進めさえすれば、誰でも合格に届きます。私は本気でそう思っています。
この記事では、私がどんな資格でも使っている「標準化した合格の手順」を、リサーチから直前期まで、実際に私がやってきたことをそのまま、順番どおりにお伝えします。この型のとおりに進めれば、遠回りせずに合格へ近づけるはずです。
※TOEICなどの英語系だけは、少し性質が違うので、今回は対象外とさせてください。
資格は「才能」ではなく「手順」で受かる
手順の話に入る前に、いちばん大事な考え方をお伝えします。それは、最初にしっかり考えて手順を決めきり、あとは悩まないということです。
誤解しないでほしいのですが、「勉強のやり方を考えるな」という意味ではありません。むしろ逆で、スタート前に、自分の勉強の進め方をしっかり悩んで決めきることがとても大事です。その具体的なやり方が、このあとのSTEP1以降になります。
本当にもったいないのは、最初に決めずに走り出してしまい、毎日「今日はどうやろう」と“その都度”悩んでしまうことです。都度都度の迷いは、積み重なると膨大な時間のロスになります。私自身、昔はこの“毎回の悩み”に膨大な時間を奪われていました。今振り返ると、あれは完全に無駄なコストだったと思います。
だから私は、最初にきっちり手順を決めてしまいます。そして一度決めたら、あとは何も考えず、ただひたすら決めたことをやるだけです。もう「作業」です。工場のラインで淡々と手を動かすのと同じ感覚です。「今日はやる気が出ないな」とか「本当にこれで受かるのかな」とか、そういう雑念を挟む余地をなくしてしまう。そうやって作業のように積み上げていけば、センスや地頭に関係なく、誰でも合格ラインに届くんです。
その「決めておくべき手順」を、これから6つのステップでお話しします。
・STEP1 リサーチで「敵」を泥臭く調べる
・STEP2 いきなり過去問から始める
・STEP3 簡単なところから、薄い紙を積むように固める
・STEP4 暗記は「毎日読むだけ」+むちゃくちゃな語呂合わせ
・STEP5 捨て問を見極める
・STEP6 ゴールから逆算してタイムスケジュールを組む
STEP1:まずはリサーチで「敵」を泥臭く調べる

「よし、この資格を取るぞ」と決めたら、私がいちばん最初にやるのは、勉強ではありません。インターネットでの徹底的なリサーチです。合格体験記、資格ブログ、口コミサイト、SNS。とにかく片っ端から読み込んで、かなり泥臭く情報を集めていきます。
ただ、ここで一つ注意があります。ネットの情報は、人によって言うことがバラバラだということです。同じ資格でも「3ヶ月あれば受かる」と言う人もいれば、「私は1年かかった」と言う人もいます。「この参考書が最高」という人もいれば、「あれは初心者には向かない」という人もいます。
もし複数の人が口をそろえて同じことを言っていたら、その評価はだいたい正しいです。でも実際は、意見が割れることの方が多いんです。だから私は、いろんな人の意見を比較・検証します。「この資格は、本当のところ何ヶ月あれば受かるんだろう」「自分の状況に合った参考書は、結局どれなんだろう」。いくつもの意見を突き合わせて、自分なりの“答え”を出していきます。
私がこの段階で必ずハッキリさせるのは、次の4つです。
・合格に必要な勉強時間の目安(=いつから始めればいいか)
・独学(参考書)でいくか、通信講座を使うか
・具体的にどの教材を買うか(※過去問だけは絶対に外さない)
・過去問を「何年分」やれば傾向がつかめるか
教材について、私には一つだけ強いこだわりがあります。それは、過去問だけは、絶対に手に入れて、そこを勉強の軸にするということです。念のため補足すると、これは「必ず買え」という話ではありません。手に入るなら、譲ってもらったものでも、図書館でも、ネットで公開されている問題でも構いません。私がこだわっているのは“買うこと”ではなく、あくまで“過去問で勉強すること”のほうです。どんな教材構成にするとしても、過去問だけは必ず用意します。ここは妥協ゼロです。そして「何年分やれば傾向がつかめるか」も、この段階で調べておきます。5年で足りる資格もあれば、10年分やって初めて出題パターンが見えてくる資格もあるからです。
「たかがリサーチでしょう?」と思うかもしれません。でも、私はこのリサーチに1週間くらいかけます。それだけの時間をかける価値が、本当にあるんです。というのも、この出だしを失敗すると、勉強そのものがグダグダになって、最終的に落ちてしまうからです。間違った教材、間違ったペース配分で走り出してしまうと、途中で「あれ、おかしいぞ」と気づいても、もう取り返しがつきません。最初の1週間の投資が、その後の数ヶ月を左右します。ここは絶対に手を抜かないでください。
ちなみに、その資格が自分の目的に対してどれくらいの難易度なのか、相場観をつかんでおくのもおすすめです。難易度のイメージについては、こちらの記事も参考にしてみてください。
STEP2:勉強は「いきなり過去問」から始める

教材がそろったら、いよいよ勉強開始です。ここで多くの人がやってしまうのが、「参考書の1ページ目から、丁寧に読み始める」という進め方です。実は、かつての私もそうでした。分厚いテキストを最初から順番に、真面目に読み込んでいく。ノートにまとめたりもしていました。
でも、今となっては断言できます。あの勉強法は、完全に間違いでした。参考書を頭から読む勉強は、一見きちんとしているようで、実は効率が最悪なんです。ゴールの形を知らないまま、どこが重要かも分からないまま、全部を平等に読もうとする。だから時間がいくらあっても足りず、試験範囲を1周する前に力尽きてしまうんです。私はこのやり方で、何度も遠回りをしてきました。
なぜ、いきなり過去問からやるのか
そこで私がたどり着いたのが、「勉強はいきなり過去問から始める」という方法です。参考書はあと。まず過去問を解きます。理由は、はっきりしています。
資格試験は、結局のところ「過去問に似た問題」が出るからです。つまり過去問こそが、その試験の“ゴールの姿”そのものなんです。だったら、最初にゴールを見てしまえばいい。過去問を先に解くと、「この資格はこういう聞かれ方をするのか」「ここは毎年出るな」「この分野はほとんど出ないな」というのが、肌感覚で分かってきます。ゴールの形を知ってから逆算すると、どこに力を入れて、どこを捨てるかが見えてくるんです。参考書を頭から読む勉強には、この“地図”が決定的に欠けています。
「まだ何も勉強していないのに、過去問なんて解けるわけがない」と思いますよね。それでいいんです。分からなくて当然です。ボロボロで構いません。大事なのは、点を取ることではなく、とにかく一度、最後まで手を動かして「敵の姿」を自分の目で見ることなんです。
解いたら必ず「丸バツ」をつける
過去問を解いたら、問題ごとに印をつけていきます。丸・バツ・三角でもいいですし、色ペンでも付箋でも構いません。印の付け方は、完全に個人の自由です。要は、あとで見返したときに「できた問題」と「できなかった問題」がひと目で分かるようになっていれば、それでOKです。大事なのは付け方そのものではなく、次の一点です。
「丸」がついた、できる問題は、二度と解かない。これに尽きます。すでにできる問題を2回目に解くのは、その時間をまるごと捨てているのと同じです。資格試験は時間との勝負ですから、限られた時間は「バツ」と「三角」の問題だけに集中投下します。私はよく、丸バツを一覧にした管理表を作って、どの問題が仕上がっていないかを見える化しています。
詰まったら、さっさと答えを見る
過去問をやっていると、必ず「分からなくて手が止まる」瞬間がやってきます。ここでの私のルールはシンプルです。分からないと思ったら、悩まずにさっさと答えを見る。これです。
分からない問題を前に、うんうん唸って考え込む時間は、はっきり言ってもったいないです。時間との勝負なんですから。分からないなら、すぐに解答・解説を見て、「なるほど、こう解くのか」と理解する。理解したら、次へ進む。この“さっさと答えを見て、理解して、次”というテンポが、本当に大事なんです。悩んでいる時間を、勉強時間だと勘違いしないでください。
STEP3:薄い紙を積むように、簡単なところから固める
過去問で全体像をつかんだら、いよいよ中身の理解に入ります。ここでも私のポリシーがあります。いきなり難しいところから、徹底的に勉強しないということです。
イメージは、薄い紙を一枚一枚積み重ねる感じです。まずは簡単なところ、基礎の基礎から入って、少しずつ層を厚くしていく。最初から難所に突っ込むと、たいてい心が折れて続きません。「分かる」という小さな成功体験を積み重ねながら、じわじわと理解の面積を広げていくイメージです。
基礎固めには、YouTubeがかなり効く
この「簡単なところから入る」段階で、私が実際によく使っているのがYouTubeです。難しい内容を、初心者向けにかみ砕いて分かりやすく解説してくれている方が、本当にたくさんいます。参考書の活字だけだと頭に入ってこないところも、動画で一度イメージをつかむと、驚くほどスッと理解できます。本当に基礎的なところは、まずYouTubeで“ざっくり分かる”状態を作ってしまうのがおすすめです。
勉強の軸は、あくまで過去問。そして書き込む
基礎をYouTubeや参考書でならしつつ、勉強の中心は過去問に置き続けます。そして、地味ですが本当に効くのがこれです。過去問には、自分の解法やポイントをどんどん書き込むということです。
「一度分かったから大丈夫」と思っても、2回目に同じ問題へ戻ってきたとき、解き方をきれいさっぱり忘れている、なんてことはしょっちゅうです。そんなとき、過去問に自分の言葉で書き込んだメモが、最高のヒントになって自分を助けてくれます。言ってみれば、未来の自分への手紙です。これは本当に大事なので、ためらわずどんどん書き込んでください。
STEP4:暗記は「一発で覚えない」。毎日読むだけ

どんな資格にも、理屈抜きで覚えるしかない暗記事項が必ずあります。ここで私が徹底しているのは、一発で覚えようとしないということです。
人間、そもそも一回で覚えられません。だから覚えようと気合を入れるのはやめて、代わりに毎日、決まった時間にただ読むことにしています。タイミングは、朝でも、お昼でも、寝る前でも構いません。いつ読むかは、自分で決めてください。人によっては、朝の1回だけで十分かもしれません。大事なのは時間帯そのものではなく、「毎日、決めた時間に読む」と決めて、それを淡々と続けることです。特に試験1ヶ月前くらいの直前期は、これを毎日繰り返します。覚えようとしなくても、毎日読んでいるうちに、勝手に頭に入ってくるんです。
どうしても覚えられないものは、むちゃくちゃな語呂合わせで
それでも、どうしても覚えられない項目というのが、私の場合、必ず出てきます。どんな勉強でも、そういう“天敵”は必ずあるんですよね。そんなとき私が使うのが、むちゃくちゃな語呂合わせです。
語呂合わせといっても、化学で習う「水兵リーベ僕の船(水素・ヘリウム・リチウム……)」みたいな、よくできた綺麗なものではありません。意味なんてまったくない、ただ音の響きだけをつなげた、支離滅裂な語呂合わせです。人に見せたら「何それ?」と言われるようなもので構いません。それを、声に出して読むんです。不思議なもので、意味のない数字の羅列でも、声に出して毎日読んでいると、いつの間にか口が勝手に覚えてくれます。「暗記が苦手で」という人ほど、一度試してみてほしい方法です。
STEP5:捨て問を見極める(合否を分ける最重要スキル)
過去問を進めていくと、必ず「難しすぎる問題」に出会います。ここで多くの人が、その難問を解けるようになろうと時間を注ぎ込んでしまいます。でも、これが合格から遠ざかる一番の落とし穴なんです。
冷静に考えてみてください。他の受験生も、みんなライバルです。みんなが解けない難問を、自分だけ解けるようになっても、差はほとんどつきません。本当に怖いのは、その逆です。難問に時間を奪われて、みんなが解ける基本問題の勉強がおろそかになること。これでは完全に本末転倒です。
だから私は、過去問をやりながら「これは捨てる」という問題を、意識的に見極めていきます。みんなが解ける問題は絶対に落とさない。逆に、自分だけが解けても差がつかない難問は、思い切って捨てる。限られた時間を「取るべき問題」に全振りする。この捨てる勇気が、合格ラインを超えられるかどうかを分けます。全部を完璧にしようとしないこと。これが、働きながら合格するための現実的な戦略です。
STEP6:ゴールから逆算してタイムスケジュールを組む

最後は、計画づくりです。ここまでの手順を「いつ・どれだけやるか」に落とし込みます。ポイントは、ゴール(試験日)から逆算して、大きい単位から細かくしていくことです。
たとえば「半年で合格する」という目標なら、まず月単位のマイルストーンを置きます。「3ヶ月後にはここまで、1ヶ月後にはここまで到達する」。次に、それを実現するための週単位の目標に落とします。「今週はこの範囲を終わらせる」。そして最後に、1日単位で「何時から何時に、何をやるか」まで決めてしまいます。ここまで細かく決めるのがコツです。
決めてしまえば、勉強に取りかかるハードルが下がる
なぜ、ここまで細かく決めるのか。理由は、「今日は何を勉強しようかな」と悩む時間を、完全になくすためです。そしてもう一つ、これは私が経験上とても強く感じていることなんですが、あらかじめ決めておくと、勉強に取りかかるハードルがぐっと下がるんです。
正直に言って、勉強なんて、誰だって好きこのんでやりたいものではありませんよね。私だって、机に向かう前は毎回「ああ、やりたくないな」と思います。でも、やる・やらないをその都度考えるから、腰が重くなるんです。ここで、「朝9時になったら、これをやる」とだけ決めておくと、話が変わります。「あ、朝9時になった。よし、暗記帳の時間だ」「お、10時か。じゃあ過去問の第◯章だ」。もう何も考えません。時計を見て、決めたことをやるだけです。取りかかりの“最初の一歩”が、驚くほど軽くなります。
この「考えなくても勉強が回る仕組み」を作れるかどうかが、続けられるかどうかの分かれ目です。私が働きながら複数の資格に合格できたのも、毎回きっちりこの仕組みを作っていたからだと思っています。私が中小企業診断士に短期合格したときの、具体的なスケジュールの立て方は、こちらの記事で詳しく紹介しています。あわせて読んでみてください。
まとめ:合格の手順は「型」にできる
最後に、今日お伝えした合格までの標準手順を、もう一度おさらいします。
・STEP1 リサーチで敵を泥臭く調べる(1週間かける価値がある)
・STEP2 いきなり過去問から始め、丸バツをつける/詰まったらさっさと答えを見る
・STEP3 簡単なところから、YouTubeも使って基礎を固め、過去問に書き込む
・STEP4 暗記は一発で覚えず、毎日読む/どうしても覚えられないものは語呂合わせ
・STEP5 捨て問を見極め、みんなが解ける問題を落とさない
・STEP6 ゴールから逆算してスケジュールを組み、考えずに動ける状態を作る
この手順は、資格が変わっても基本的に同じです。一度この型を身につければ、次に挑戦する資格でも、そのまま使い回せます。私が電験一種や中小企業診断士、簿記2級など、分野の違う資格に働きながら合格できたのも、この型をずっと使い回してきたからにほかなりません。
もう一度だけお伝えさせてください。「自分には向いていないから」なんて理由で諦めてしまうのは、本当にもったいないです。資格は、才能ではなく段取りと作業で決まります。やり方で悩むのをやめて、「こうやる」と決めたら、あとは何も考えずに、決めたことをただ淡々とやり切るだけです。そうやって作業のように積み重ねていけば、誰でも合格ラインは必ず見えてきます。
その「淡々とやり切れる人」には、実は共通の特徴があります。あわせて読むと、あなたの合格がぐっと近づくはずです。あなたの挑戦を、心から応援しています。

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