電験二種の参考書は、三種ほど数がありません。書店の棚も狭く、ネットで調べても意見はバラバラ。結局どれを買えばいいのか決まらない——二種の勉強を始めるとき、私が最初に手を止めたのはそこでした。
先に結論をお伝えします。一次試験は電気書院の「○○の15年間」シリーズ4冊、二次試験は過去問と『戦術で覚える!電験2種二次計算問題』。この形で、私は令和2年度の電験二種に一度で合格しました。電験三種に合格した翌年のことです。
この記事では、私が実際に使った7冊を、一次試験と二次試験に分けて1冊ずつご紹介します。良かった点だけでなく、それぞれの弱点や、私が使わなかった本の話まで包み隠さず書きました。
私が電験二種で使った参考書はこの7冊です
先に全体像をお見せします。価格は2026年8月時点の税込定価です。
| 区分 | 書名 | 定価 | 役割 |
|---|---|---|---|
| 一次 | 電験2種一次試験過去問マスタ 理論の15年間 | 4,070円 | 一次の主役。テーマ別に15年分 |
| 一次 | 電験2種一次試験過去問マスタ 電力の15年間 | 3,740円 | 同上 |
| 一次 | 電験2種一次試験過去問マスタ 機械の15年間 | 3,740円 | 同上 |
| 一次 | 電験2種一次試験過去問マスタ 法規の15年間 | 3,410円 | 同上 |
| 二次 | 電験2種二次試験標準解答集 | 4,510円 | 二次の過去問。これは外せない |
| 二次 | 戦術で覚える!電験2種二次計算問題 | 4,180円 | 計算問題の型づくり。使い倒した |
| 二次 | キーワードで覚える!電験2種二次論説問題 | 4,400円 | 論説対策。※私は軽く読んだだけ |
このほかに、電験三種のときに使っていたTAC出版の教科書を、一次試験の辞書として引き続き使っています。そちらは後ほど説明します。
7冊の役割と、私の勉強の組み立て方を1枚にまとめました。

【一次試験】電気書院「○○の15年間」シリーズ4冊

一次試験で私が使ったのは、この4冊だけです。理論・電力・機械・法規の科目ごとに1冊ずつ出ています。
2026年版 電験2種一次試験過去問マスタ 理論/電力/機械/法規の15年間
電気書院/定価 4,070円・3,740円・3,740円・3,410円(いずれも税込)/A5判
直近15年分(2026年版は2025年〜2011年)の一次試験過去問を、年度別ではなくテーマ別に分類して収録
15年分をこの形で収録している本は、ほかに見つかりませんでした
二種の一次試験は、過去問をどれだけ回せるかで決まります。ところが二種になると、三種のように選択肢が豊富にあるわけではありません。私が探したかぎり、15年分をまとめて収録している問題集は、このシリーズ以外に見つかりませんでした。まずこの一点だけでも、買う理由になります。
年度別ではなく「テーマ別」だから、深く掘れます
そして私がこのシリーズを推す最大の理由は、収録が年度別ではなく分野別・テーマ別になっていることです。
テーマ別に並んでいると、同じ論点の問題が何問も続けて出てきます。すると「この分野は、こういう角度で繰り返し聞かれるんだな」というのが一気に見えてくるんです。ひとつのテーマを、深く、まとめて潰せる。学習効率という点で、この形式はとても優秀です。
もちろん、年度別にやる良さもあります。その年にどういうセットで問題が出たのかが分かりますし、1年分の中でどうやって60点を取るかという感覚は、年度別のほうがつかみやすい。ここは正直、好みの問題だと思います。そのうえで私は、テーマ別のほうが好きです。
解説は比較的丁寧。分からないところは三種の教科書に戻りました
解説については、「これ以上ないほど丁寧」とまでは言いません。ただ、比較的丁寧で、読めばだいたい分かる水準にはあります。過去問集としては十分だと感じました。
それでも詰まる箇所は出てきます。そこで私がやっていたのが、電験三種のときに使っていたTAC出版の教科書に戻って確認するという方法です。二種の過去問で分からない論点を、三種の教科書で調べ直す。基礎の部分は三種の教科書のほうが圧倒的に分かりやすいので、この往復がかなり効きました。
三種で使った参考書については、別の記事で1冊ずつ紹介しています。二種を受ける方も、手元に三種の教科書があるなら、処分せずに残しておくことをおすすめします。
それでも解決しないとき|当時はネット検索、今ならAIという手があります

三種の教科書に戻っても分からない。そういう問題も、やはりありました。当時の私は、YouTubeを見たり、ネットで検索したり、とにかく手当たり次第に調べて解決していました。正直に言うと、ここにはかなりの時間をロスしています。
今なら、もっと早い方法があります。分からない問題をスマートフォンで撮って、AIに送って解説してもらう。私が受験していたころには無かった手段です。独学の一番の敵は「分からないまま止まる時間」ですから、使えるものは使ってしまっていいと思います。
補足|二種の一次試験は、三種より易しく感じました
意外に思われるかもしれませんが、私の実感として、二種の一次試験は三種よりも解きやすいです。難易度そのものではなく、出題形式の違いによるものです。
・三種:1問につき1つの問いが独立して出る。分からなければ、そこで終わり
・二種の一次:ひとつの問題の中に空欄が複数あり、選択肢から選んで埋めていく
・二種は前後の文脈から推測が働くぶん、手が届く問題が増える
三種は一問一答の一撃必殺で、知らなければ手も足も出ません。一方、二種の一次はひとまとまりの文章の中に複数の空欄があるので、全部は分からなくても、流れから想像して埋められてしまうことがあるんです。
もちろん油断はできませんが、「二種と聞いた瞬間に一次から怖気づく必要はない」ということは、お伝えしておきたいと思います。
【二次試験】過去問集と「戦術で覚える!」が主役です

ここからが本番です。電験二種は、二次試験で決まります。私が使ったのは次の3冊ですが、実際の使用量には大きな差があります。
過去問(標準解答集)は、絶対に外せません
2026年版 電験2種二次試験標準解答集
電気書院/定価 4,510円(税込)/A5判 427ページ
二次試験(電力・管理/機械・制御)の過去問と解答例を収録
教材選びで迷うことがあっても、過去問だけは必ず手に入れてください。これは電験二種にかぎった話ではなく、私がどの資格試験でも変えていない方針です。
特に二次試験は記述式ですから、「どこまで書けば点になるのか」を知らないまま勉強しても的が絞れません。解答例を読んで、答案の分量と書き方の感覚をつかむ。そのためにも過去問は必須です。
主役はこれ|「戦術で覚える!電験2種二次計算問題」
戦術で覚える!電験2種二次計算問題
野村浩司・小林邦生 著/電気書院/定価 4,180円(税込)/A5判 508ページ
昭和40年以降の計算問題から重要問題を厳選し、解法の「戦術」として整理
私が二次試験でいちばん使い倒したのが、この「戦術で覚える!」です。
まず前提としてお伝えしたいのですが、電験二種の二次試験の計算問題は、ある程度パターン化されています。まったく新しい問題が毎年ゼロから出てくるわけではありません。ですから、計算のパターンを覚えてしまえば受かります。二次試験の計算問題は、そういう試験です。
そして、そのパターンを覚えるための本として、「戦術で覚える!」はとても良くできています。重要な計算問題を抜き出し、解法を「戦術」という形に整理して、途中の計算までしっかり書いてくれている。しかも分野別に分かれているので、ひとつの型をまとめて身につけられます。二次試験を攻略する基礎は、この本で作れました。計算問題の参考書を1冊だけ選ぶなら、私はこれを選びます。
ただし、難点もあります。ひとつは、詳しすぎることです。
解説が丁寧なのは長所ですが、その分、収録されている型の数も、1問あたりの情報量も相当なものになります。合格という目的から見たときに、ここまで型を覚える必要があるのだろうかとは正直思いました。もっとも、この本を完璧にすれば受かるのは間違いありません。そこは保証します。
もうひとつの難点は、誤字脱字が、それなりにあることです。
気づけるならいいのですが、まだその問題を理解できていない段階だと、そうはいきません。「どうしてここがマイナスになるんだろう」「なぜここでプラスに変わるんだろう」と、本の誤りに気づかないまま延々と悩んでしまう。私はこれでずいぶん時間を使いましたし、当時はYahoo!知恵袋で質問して解決したこともありました。
これから使う方は、どうしても納得できない箇所に当たったら「誤字の可能性」を疑ってみてください。そのうえでAIに聞いてみると、意外とあっさり片が付くかもしれません。
「キーワードで覚える!」は、私は軽く読んだだけでした
改訂新版 キーワードで覚える!電験2種二次論説問題
植田福広・岡村幸壽 著/電気書院/定価 4,400円(税込)/A5判 506ページ
二次試験の論説問題を、テーマごとのキーワードで整理
正直にお伝えすると、この本はほとんど使っていません。軽く読んだ、という程度です。
本自体は良い本です。二次試験には論説問題がありますが、論説はテーマごとに解答の型がある程度決まっています。「このテーマならこう答える」という型を知るには、非常によく整理されています。
そのうえで、合格という一点で見たときの私の感想はこうです。量が多すぎます。ここまでの知識は、合格するためには要らない気がしています。全部を頭に詰め込もうとするより、もう少しシンプルに自分で噛み砕いて、自分なりの解答を作ってしまったほうが早いと思います。
電験二種の二次は、計算問題にウェイトを置くのが効率的です
なぜ論説の本をほとんど使わなかったのか。理由はシンプルで、二種の二次試験は、論説より計算問題が中心だからです。
私は二次試験の勉強を、計算問題を軸に組み立てました。論説をまったく捨てたわけではありませんが、意識的に時間を配分しなかった、というのが実際のところです。論説は、がっつり勉強していなくても0点になることはありません。書けることを書けば、部分点は拾えます。
限られた時間をどこに置くか、という話は、以前の記事でも書きました。
みんなが解ける問題は絶対に落とさない。逆に、自分だけが解けても差がつかない難問は、思い切って捨てる。限られた時間を「取るべき問題」に全振りする。
電験二種の二次試験で「取るべき問題」は、計算問題です。だから参考書も、計算に寄せて選ぶ。それが私の結論です。
なお、これは二種にかぎった話です。電験一種になると論説の比率が上がるので、戦略はまた変わってきます。一種の話は別の記事に書いていますので、そちらもご覧ください。
ひとつだけ問題があります|「戦術で覚える!」+過去問は、かなりの分量です
ここまで「戦術で覚える!」と過去問を推してきましたが、正直に申し上げておくことがあります。
この2つを合わせると、相当な分量になります。508ページの問題集と、過去問。これを本当に消化しきれるのか、というのは現実的な問題です。私は消化しましたが、ここまでやる必要があったのかどうかは、正直なところ今も分かりません。
ですので、これから始める方には、こうお伝えしておきます。
・まず「戦術で覚える!」で、計算問題のパターンを頭に入れる
・型ができたら、そこから先は過去問を中心に回す
・論説は深追いしない。部分点を拾えるだけの準備で十分
そのうえで、ひとつだけ言い切れることがあります。「戦術で覚える!」をカチカチに固めて、そのうえで過去問をやり切れば、まず受かります。論説をある程度しか勉強していなくても、です。繰り返しますが、論説は0点でいいという意味ではありません。捨て気味でも、ある程度の点数は取れる、ということです。
これから買う方への注意点
私が使ったのは、令和2年度に受験した当時の版です
この記事で紹介した価格とリンクは、すべて最新版のものです。ただし私自身が使ったのは、令和2年度(2020年)に受験した当時の版になります。
「○○の15年間」シリーズと「標準解答集」は毎年改版されていますので、これから買うなら必ず最新年度版を選んでください。収録される年度が変わります。また「キーワードで覚える!」は2021年に改訂新版が出ていますので、私が読んだのは改訂前の版ということになります。
最新の試験情報は公式サイトで確認を
試験日程や申込方法などの最新情報は、電気技術者試験センターの公式サイトでご確認ください。参考書の内容は変わらなくても、制度まわりは変わることがあります。
まとめ:計算に寄せれば、電験二種は独学で届きます

最後に、この記事の要点をまとめます。
・一次試験は電気書院の「○○の15年間」シリーズ4冊。テーマ別収録で深く掘れる
・分からないところは電験三種の教科書に戻る。それでもダメならAIに聞く
・二次試験は過去問と「戦術で覚える!」の2本。計算はパターンを覚えれば取れる
・論説は深追いしない。部分点で拾う前提で組み立てる
電験二種は、参考書の選択肢が少ないぶん、迷いどころも少ない試験です。決めてしまえば、あとは同じ本を何周するかの勝負になります。
私は三種に2度落ちてから、遠回りをして三種に受かり、その翌年に二種を受けました。特別な才能があったわけではありません。計算問題に時間を寄せる、という一点を決めただけです。この記事が、あなたの1冊目を決める助けになれば嬉しいです。

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