電験三種の参考書は、TAC出版の「みんなが欲しかった!」シリーズだけで足ります。予備校にも通信講座にも申し込む必要はありません。
いきなり結論から書きましたが、これは私が実際に令和元年度の試験を、この市販本だけで突破したときの実感です。その後、電験二種・電験一種にも合格しました。
ただし、シリーズをまるごと全部使ったわけではありません。軸にしたのは教科書ではなく過去問題集のほうですし、買ったのに意識的に手をつけなかったページもあります。ここを間違えると、せっかく良い本を買っても遠回りになります。
この記事では、私が電験三種で使った本を1冊ずつ、使い方までセットでご紹介します。記事の最後には、実はもう1冊、私が最初の受験のときに使っていた本の話も書きました。そちらもぜひ読んでいってください。
私が電験三種で使った参考書はこの6冊です

先に全体像をお見せします。価格は2026年7月時点の税込定価です。
| 書名 | 定価 | 役割 |
|---|---|---|
| みんなが欲しかった! 電験三種の10年過去問題集 | 3,080円 | 勉強の主役。ここを軸に回す |
| みんなが欲しかった! 電験三種 理論の教科書&問題集 | 3,520円 | 理論の辞書(教科書編のみ使用) |
| 同 電力の教科書&問題集 | 3,520円 | 電力の辞書(教科書編のみ使用) |
| 同 機械の教科書&問題集 | 3,520円 | 機械の辞書(教科書編のみ使用) |
| 同 法規の教科書&問題集 | 3,520円 | 法規の辞書(教科書編のみ使用) |
| 電験三種完全攻略(オーム社) | 2,860円 | ※最初の受験のときに使用(記事の最後で解説) |
合格したときに使ったのは、上の5冊です。この5冊で、理論・電力・機械・法規の4科目すべてをカバーしました。それでは、いちばん大事な1冊からいきます。
主役はこれ|TACの10年過去問題集

私が電験三種の勉強で軸にしたのは、教科書ではなく、こちらの過去問題集でした。
2026年度版 みんなが欲しかった! 電験三種の10年過去問題集
TAC出版/定価 3,080円(税込)/B5判 1456ページ
直近10回分の本試験問題を収録/問題編+科目ごとの解答解説編の5分冊
そもそも、なぜ教科書ではなく過去問を軸にするのか。この点は以前の記事で詳しくお話ししているので、ここでは要点だけ引いておきます。
教材について、私には一つだけ強いこだわりがあります。それは、過去問だけは、絶対に手に入れて、そこを勉強の軸にするということです。
電験三種でも、この方針は変えていません。そして数ある過去問題集の中で、私がこの1冊を推す理由は3つあります。
理由1:解説が、ほかの過去問集とは比べものになりません
いちばんの理由がこれです。解説が、これ以上ないというくらい分かりやすいんです。
過去問題集というのは、どうしても解説が淡白になりがちです。答えと式だけ書いてあって、「なぜその式を使うのか」が書かれていない本も少なくありません。分からない問題に当たったとき、解説を読んでもまだ分からない。これでは手が止まってしまいます。
ところがこの本は、解答までの「道すじ」を丁寧に追ってくれます。私の感覚では、これより分かりやすい電験三種の過去問集は見たことがありません。解説が理解できるということは、詰まっても自力で前へ進めるということです。独学で勉強する人間にとって、これがどれだけ心強いか。
理由2:難易度が示されているので「捨て問」が分かります
次に大きかったのが、問題ごとに難易度のランクが付いていることです。私が使った版では、A・B・Cといった形で示されていました。
これは想像以上に効きます。というのも、資格試験で本当に大事なのは、全部を解けるようになることではなく、やらなくていい問題を見極めることだからです。
みんなが解ける問題は絶対に落とさない。逆に、自分だけが解けても差がつかない難問は、思い切って捨てる。限られた時間を「取るべき問題」に全振りする。
とはいえ、この見極めを自分ひとりの判断でやるのは意外と難しいものです。難しく感じた問題が、受験生みんなが解けない難問なのか、それとも自分の勉強不足なのか。区別がつかないんですよね。
その判断材料を、本のほうが先に示してくれる。「これは捨てていい」と分かるだけで、勉強の負担はぐっと軽くなります。難問に何時間も注ぎ込んで、みんなが取れる基本問題を落とす。これが試験でいちばんもったいないパターンです。
理由3:科目ごとに分冊できるので持ち運べます
3つ目は、地味ですが毎日効いてくる話です。
この本は4科目の10年分がまとまっているので、電話帳のように分厚いです。ページ数でいうと1456ページあります。これをそのままカバンに入れて持ち歩くのは、正直なところ現実的ではありません。
ところがこの本、問題編と、理論・電力・機械・法規それぞれの解答解説編に、バラして使えるようになっているんです。だから「今日は機械をやる」と決めたら、機械の分だけ持って出られます。
働きながら勉強していると、通勤時間や昼休みといったスキマ時間が勝負になります。持ち運べるかどうかは、そのまま勉強量に直結します。分厚い本を机に置いたまま、その日は結局開かなかった。そういう日を減らせるのは、想像以上に大きいです。
教科書&問題集は「教科書だけ」使いました

過去問と併せて買ったのが、同じシリーズの科目別の本です。理論・電力・機械・法規で1冊ずつ、計4冊あります。
みんなが欲しかった! 電験三種 教科書&問題集(第3版)
TAC出版/定価 各3,520円(税込)/A5判・フルカラー
理論/電力/機械/法規の4冊。各冊が「教科書編」と「問題集編」に分かれています
ここで、この記事でいちばんお伝えしたい注意点があります。私が使ったのは、教科書編だけです。
教科書編は、辞書として最高です
教科書編は本当によくできています。フルカラーで、図やイラストがふんだんに使われていて、要点が板書のように整理されている。「なぜそうなるのか」「どうやって解くのか」という初学者の疑問に、ちゃんと答えてくれる作りです。
ただ、私はこれを最初から読み込んではいません。使い方は辞書です。過去問を解いていて分からない論点に当たったら、そこだけを教科書で調べに行く。読み終える本ではなく、引きに行く本として手元に置いていました。
問題集編は、私は使いませんでした
一方、同じ本に収録されている問題集編のほうは、私は使っていません。はっきり言うと、ここに時間を使う必要はないと考えています。
理由は、本番よりもはるかに易しい問題ばかりだからです。しかもオリジナル問題ではなく、過去問から抜き出したものです。TAC出版の公式サイトにも「奇問・難問を排除した重要過去問題集」と書かれているとおり、易しい問題を選んで載せる方針なんですね。
教科書を読んだ直後の理解確認としてなら、その設計は正しいのだと思います。ですが、本番の電験三種はもっと手強いです。ここで解けたからといって、本番で通用する保証にはなりません。それに、どうせ同じ過去問を解くのなら、10年分がまるごと入っていて解説も詳しい過去問題集をやったほうが、はるかに効率がいいはずです。
つまり「教科書&問題集」という1冊のうち、半分だけを使ったことになります。もったいないと思われるかもしれませんが、教科書編の完成度だけでも買う価値は十分にありました。
私の使い方|過去問を軸に、分からないところだけ教科書へ
ここまでをまとめると、私の勉強のかたちはとてもシンプルでした。
・勉強の主役は、10年過去問題集
・詰まったら、その論点だけ教科書編で調べる
・難易度ランクを見て、捨てる問題を決める
・教科書は最初から読まない。問題集編は使わない
この形が成り立つのは、TACの過去問題集の解説がそれだけ詳しいからです。解説を読めばだいたい理解できてしまうので、過去問題集だけでも勉強が成立してしまうんですよね。教科書はあくまで、それでも分からなかったときの逃げ場でした。
もしあなたが「まずテキストを一周してから過去問へ」と考えているなら、一度立ち止まってみてください。ゴールの形を知らないまま全部を平等に読み込むのは、遠回りになりがちです。
最後に|私が最初の受験で使っていたのは、別の本でした
ここまでTACのシリーズを推してきましたが、私は最初からこの本を選べていたわけではありません。
お恥ずかしい話ですが、私は平成21年度に電験三種を初めて受験して、理論と電力には科目合格したものの、機械と法規で不合格でした。翌年に機械と法規だけを受け直しましたが、そこでも合格には届きませんでした。そこで気持ちが切れてしまい、私はその後7年間、電験の受験から完全に離れています。
そして令和元年度、もう一度受けようと決めたときに、参考書を一式買い替えました。そこで手にしたのが、ここまでご紹介してきたTACのシリーズです。同じ試験なのに、解説が理解できるだけで、勉強の進み方がまるで違いました。
では、最初の受験のときは何を使っていたのか。それがこちらです。
電験三種完全攻略(改訂5版)
オーム社/定価 2,860円(税込)/A5判
理論・電力・機械・法規の4科目を1冊に収録
※私が使ったのは改訂3版です
この本を選んだ理由は単純で、4科目が1冊にまとまっていて、これをやれば全部カバーできそうに見えたからです。値段も手ごろで、当時の私には効率が良さそうに思えました。
ところが、実際に開いてみると、なかなか頭に入ってこないんです。
4科目を1冊に収めているわけですから当然といえば当然なのですが、解説がとにかく簡潔なんですね。式の途中経過があっさり省かれていたり、「なぜそうなるのか」が短く言い切られていたり。すでに電気の基礎が固まっている方なら、これで要点を拾い直せるのだと思います。ですが、当時の私のレベルでは、正直なところ読み解けませんでした。
誤解のないように補足すると、この本が悪い本だと言いたいわけではありません。実力のある方が知識を整理するには、コンパクトで良い本だと思います。ただ、これから電験三種に挑もうという段階の私には合わなかった、ということです。
参考書は「解説の分かりやすさ」で選んでください
2冊を比べてみて、私がはっきり言えることが一つあります。
・参考書も問題集も、選ぶ基準は「解説が分かりやすいか」
・難しそうに書いてある本は、頭が良くなる本ではない
・くどいと感じるくらい丁寧な本のほうが、結果的に早い
説明が簡潔で、少し高度に見える本というのは、書店で手に取ったときに、なんだか自分まで賢くなったような気がするものです。「本格的に勉強している感」が出るんですよね。
その点、TACの本は正反対です。表紙はポップですし、中身も柔らかい言葉で、ときどき砕けた言い回しまで出てきます。見た目のかっこよさで言えば、決して勝ってはいません。
それでも私は、断然こちらをおすすめします。勉強に使うなら、丁寧すぎるくらい解説してある本のほうが絶対にいいんです。簡単なことをわざわざ難しく書いてある本を選んでも、理解が進まないまま時間だけがロスしていきます。
これから買う方への注意点
私が使ったのは、当時の最新版です
ひとつお断りしておくと、私が実際に手にしたのは令和元年度に受験した当時の版です。この記事で紹介している価格やリンクは、2026年7月時点の最新版のものです。
電験三種の参考書は、毎年のように改訂されています。過去問題集は収録される年度が入れ替わりますし、法規は法改正が反映されます。中古で古い版を安く手に入れるという選択肢もありますが、特に過去問題集と法規については、最新年度の版を選ぶことをおすすめします。
試験制度が変わっています(年2回・CBT方式)
もうひとつ、私が受けたころとは試験制度そのものが変わっています。念のため補足しておきます。
・電験三種は現在、上期・下期の年2回実施されています
・申込時にCBT方式(テストセンターでのパソコン受験)と筆記方式を選べます
・科目合格の制度は続いています
私が受験したころは年1回・筆記のみでしたから、受験機会が増えたぶん、今のほうが恵まれていると言えます。ただ、CBT方式では画面上で問題を解くことになるので、紙の問題用紙に書き込みながら解く感覚とは少し違うはずです。そのあたりの対策までは、私は経験がないので正直に「分かりません」とお伝えしておきます。
いずれにしても、出題される中身が変わるわけではありません。過去問を軸に、解説の分かりやすい本で理解を積み上げるという進め方は、方式が変わっても有効です。実際、TAC出版はこの制度変更のあとも毎年最新版を出し続けています。最新の試験情報は、電気技術者試験センターの公式サイトでご確認ください。
まとめ:分かりやすい本を選べば、電験三種は独学で受かります

最後に、この記事の要点をまとめます。
・軸はTACの10年過去問題集。解説・難易度表示・分冊、どれも独学の味方
・科目別の教科書編は辞書として使う。問題集編は使わなくてよい
・参考書は解説の分かりやすさで選ぶ。難しそうな本を選ばない
電験三種は、決して簡単な試験ではありません。ですが、予備校に通わなくても、市販の参考書だけで十分に合格を狙えます。現に私は、TAC出版の5冊で合格しました。
そして、一度うまくいかなかったからといって、そこで終わりではありません。私は最初の受験でつまずき、しばらく遠ざかっていましたが、それでも受かりました。そのあと二種にも一種にも合格しています。つまずいた経験があったからこそ、本選びの大切さを身をもって知ることができたのだと思っています。
この記事が、あなたの参考書選びの一助になれば嬉しいです。応援しています。

コメント